■ エピローグ ■ 



2009年 晩夏―――


奇跡の結末を向え、僕の夏は終わった。


この1ヶ月、僕が垣間見た世界はあまりに日常からかけ離れたものだった。

生きている事を確認しながら生きるような非日常の世界。


こんな世界はドラマや映画、他人の話に聞くだけで

どこかリアリティの無い、遠い世界の話だった。

幸運にも日常の生活へと帰ってこれた今、

この文章を書いてる今でさえ、どこか現実味の無い話に思えてしまう。


しかし、本当に、現実にこの世界の中で生きている人達がいるのだ。

がんセンターで見かけた多くの人達

同い年くらいの男の姿があった。

僕より遥かに年下であろう女の子の姿もあった。

彼らにとってそれはまぎれもない現実なのである。

彼らはこの世界の中で闘って生きているのだ。



喫煙家の皆さん、タバコをやめましょう。

唐突だが、僕が今回の連載を通じて言いたかった事はこれだ。

ガンの可能性を疑う時のあの計り知れない恐怖。

覚悟の上で吸っていると言うかもしれない。

だが断言しよう。

今、この瞬間に自殺でもする覚悟がない限り、そんな覚悟など軽く吹き飛ぶ。

そしてなにより家族や恋人の為にタバコをやめよう。


今回身をもって知ったが、周囲の人々は自分と同等、もしくはそれ以上に辛い思いをする。

こんな友達のいないリアル引きこもりですらである。


大切な家族や恋人の笑顔以上に必要なものなどあるだろうか?

あるわけがない。


僕はやめる。

だから皆も一緒にタバコをやめよう。

実はタバコなんて思ってるほど必要なものじゃないんだからさ!















― 完 ―











ふー、おわったー









って、ヲォォオオイッ!!


〜 fin 〜






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